花の名は、ダリア
「『なんでわかるンだー』ってか?
おまえ、言ったじゃねェか。
俺たちは似てるって。」
(言ったケド…)
クララは警戒も露に、レンガの壁を背にして身構えた。
ソレと、どんな関係が?
考えを読んでいながら、どうしてすぐに殺さないの?
逆光で、ソージの表情は見えない…
「おまえにとっては愛する男が全てで、他はどーなろーが知ったこっちゃなかった。
俺にとってはダリアが全てで、他はどーなろーが知ったこっちゃねェ。
な?俺とおまえは同じだ。」
「…」
「その相手を、殺されちまったンだもんな。
そりゃ許せねェよな。
地獄の果てまで追い詰めてやろうと思うよな。
よーくわかるよ。」
…
これは… 説得ターン?
『わかるよ』とか、同情してみせて。
『でも待てよ』とか、諭して。
説得で、復讐を諦めさせようとしているの?
そう言えばフランシスを殺したあの女も、『ダメ』なんて止めてたし…
(今は、私を殺す気はないのかも知れない。)
クララは俯き、堪えきれずに緩む頬を隠した。