花の名は、ダリア
なんて好都合。
ありがたく説得されてあげる。
しおらしく改心してあげる。
そして、あの女にも謝りたいとか言って、油断したトコロを…
「本当にわかってくれる…?」
胸の前で手を組んでソージを見上げたクララは、今度こそ見透かされないよう、涙まで零すという迫真の演技をしてみせた。
「あー、わかる、わかる。
まじわかる。」
軽いな、おい。
そしてチョロいな、おい。
気をつけないと、笑ってしま…
「だから、おまえもわかンだろ?
俺はダリアを傷つけようとする奴を許さない。
たとえダリアの意に背こうと、俺はおまえを殺す。」
(笑えねェェェェェ!!!)
クララは身を翻して走り出した。
わかりすぎるくらい、よくわかったよ。
お互い『殺す』以外の選択肢はない。
今にも後ろからバッサリ殺られそうで足が竦むが、もう一縷の望みに賭けるしかない。
鼻で笑ってしまうような、バカバカしい可能性に賭けるしか…
路地の突き当たりまで走ったクララは、目の前の建物の窓ガラスを拳が傷つくのも気にせず叩き割り、ガラスの破片がドレスを裂くのも気にせず中に侵入した。