花の名は、ダリア

耳の縁やうなじに指を這わせながら、柔らかく触れるだけのキスを何度も繰り返し、互いの吐息に熱が孕みだした頃にふと気づく。

そういえば、クリスタルレイクの謎が解けていない。


「ダリア…」


キスの合間にソージは囁いた。


「どうして麻袋なんて被ってたンです?」


「んー… ん?
あっ!そうだわ!
ソージのせいなンだから!」


睫毛を伏せて大人しく身を預けていたダリアが、突然ソージの胸を両手で押して距離を取った。

ついでに頬を膨らませ、プイとそっぽを向く。


「ソージが見苦しいなんて言うから!
私、傷ついたンだからね!」


「は?
俺、そんなコト…」


言ったっけ?

見苦しい?
ダレが? ダリアが?

この、ホッペをまんまるくして口を尖らせるダリアが?

ねェよ。
クッソ可愛いじゃねェかよ。

言ってない、言ってない…



…‥‥‥‥言ったわ。

自分の不甲斐なさに嫌気が差して、ダリアの無防備さがいたたまれなくて、八つ当たりぎみに言っちゃったわー…

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