花の名は、ダリア
「なによぅ!嬉しいなんて!
私はね?私は…
…
あら?
どうしたの?ソージ。
耳が赤」
「もう黙ってください。」
まだナニカ言いたげに開く色のない唇を、噛みつくように塞いで。
その勢いのまま、華奢な身体をベッドに押し倒して。
ソージは胸を焦がす激情に命じられるがままダリアのドレスを引き裂き、露になった白い喉元に鋭い牙を突き立てた。
もー…
ついさっき優しくしようと決意したばっかなのに、結局コレだよ。
でも、しょうがない。
あんな風に煽られちゃ、しょうがない。
奪いたくてしょうがない。
抱きしめるとフワリと立ち昇る、目眩がするほど甘い香りを嗅げるのは、今は俺だけ。
その香りの源である芳醇な真紅の蜜を味わえるのは、今は俺だけ。
シーツの上で波打つペールブロンドも。
指でなぞると弓のようにしなる敏感な肢体も。
堪えきれずに唇から漏れる、切ない啼き声も。
繋がった時にだけ、薄桜に染まる肌も。
全部奪って。
全部俺のモノに。
俺だけの、貴方に。
過去は変えようがないけれど。
これからの貴方は、ずっと俺だけのモノだ。