花の名は、ダリア
我輩はヘルシング。
誇り高きヴァンパイアハンターである。
とは言っても、ドラキュラ伯爵を倒したというかの有名なヴァン・ヘルシング教授ではない。
我輩たちヴァンパイアハンターは、代々彼の名を受け継いでいるのだ。
つまりは正当継承者。
つまりはサラブレッド。
『怪力無双・変幻自在・神出鬼没の不死者の王』なんて恐れられてはいるが、ヴァンパイアは多くの弱点を持つ脆弱な生き物だ。
見分け方や対応策などもこの名と共にバッチリ受け継いでいるし、警戒すべきは人間の生き血を啜るといわれる鋭い牙くらい。
つまりは我輩、最強伝説!YEAHHHHHH!!
そんなワケで我輩は、今日も意気揚々と狩りに出る。
華麗にヴァンパイアを倒し、助けた美女に『ヘルシング様、素敵!』なんて言われてやるのであーる☆
今回のターゲットは、最近町外れの借家に住み着いたという若い男女だ。
住み着いたと言っても不法占拠などではなく、家賃は滞りなく支払われている。
ご近所付き合いはまだないが、トラブルもない。
もちろん、その家から夜な夜な悲鳴が聞こえるワケではないし、町に行方不明者が出ているワケでもない。
一見、フツーの新参者だ。
だがしかし…
臭うのだ。
我輩の妖怪アンテナ…ではなくヴァンパイアアンテナが、ビンビンに反応するのだ。