花の名は、ダリア

てか、逃げるどころか、我輩の胸で揺れるロザリオを指でつついてやがりマスYO!

なんて人懐っこいんだ。
なんて無防備なんだ。

好きだぁ!



いやいや、血迷うな。

太陽の下に出てきたり銀の十字架に触れたり、なんだか違う気もするが…
ここまでの美しさなら、ヴァンパイアである疑いは捨てきれない。

我輩は高鳴る鼓動を必死で押し殺し、女に一輪のバラを差し出した。


「お近づきの印に。」


そう、女がヴァンパイアなら、触れた途端にバラは枯れる。

正体を見破られるのを嫌って受け取りを拒否すれば、疑惑は確定的。

心から勿体ないが、ホント涙が出るほど勿体ないが、その豊かな胸に白木の杭を打ち込んでやろう。

どーだ?どーだ?どーだぁぁ!?

貰ってくれるぅぅぅぅぅ!?


「あら、ありがとー。
こうすると…
どう?似合う?」


貰ってくれたぁぁぁぁぁ!!

しかもバラを髪に差して、小首を傾げて笑ってくれたぁぁぁぁぁ!!

もちろん似合うよ。
エクボが可愛いよ。

誰よりも何よりも綺麗だよ。

好きだぁぁぁぁぁ!!

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