花の名は、ダリア

我輩が立ち上がらねばなるまい。

ヴァンパイアを倒し、女を恐怖の日々から解放してやらねばなるまい。

そして、
『ヘルシング様、素敵!』
とか、
『ヘルシング様、愛してる!』
とかとか、
『私を好きにして…』
とかとかとかぁぁぁぁぁ!!??

あー… ゴホン。

別に、下心なんてないぞ?

断じてないぞ?

これは、我輩の崇高な使命なのであーる。

しかし…
困ったゾ。

ヴァンパイアを倒しに行けない。

女が『ソージは疲れてるンだから、起こしちゃダメよ』なんて、片目を閉じて言ったから。

男の話ばっかしやがって気に入らないから、早くソイツ殺したい。
だけど女があまりにも可愛いから、なんか逆らう気になれない。

コレは困ったゾ…

などと我輩が逡巡している間に、二階で誰かが動く気配がした。

まさか、ヴァンパイアか?

いやいや。
もう陽射しは部屋に差し込まないが、まだ太陽は沈みきっていない。

まだ夜じゃない。

なのに、階段を下りる足音がして。
リビングのドアが開いて。


「おはようございます、ダリア。

あれ?お客さま?」

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