花の名は、ダリア

焦る我輩を尻目に、女はニンニクが詰まったカゴを男に差し出す。


「コレも貰ったの。
今夜はニンニク料理にしよう?」


カゴを覗き込みながら、男は頷く。


「いいですね。」


コレは願ってもない展開。

女が作ったニンニク料理を男が食べなければ。

その憎たらしい顔面に白木の杭を打ち込んでやろう。


「私、アヒージョが食べたい!
ソージ、作れる?」


おいおい?
オメェは作らねぇのかよ。


「もちろん。
ダリアが望むなら、なんだって。」


おいおいおいおいぃぃぃ!?
オメェは作れンのかよ!?


「わーい、ありがとー。
あ… でも…
臭くなっちゃうかしら?」


イイよ、イイよ。
そんな困った顔しなくても、君ならニンニク臭も芳しいよ。
好きだぁ!


「大丈夫ですよ。
デザートは林檎のソテーにしましょう。
消臭効果があるそうですから。」


博識アピールか!?
デキる男アピールか!?
死ねぇ!

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