花の名は、ダリア
新婚家庭におジャマして夕飯をご馳走になり、当てられっぱなしで帰る寂しい独身男になった気分である。
我輩はすっかり日が落ちた田舎道を、トボトボと歩いていた。
隣には
『仕事に行くので、途中までご一緒しましょう』
と言って、我輩と同時刻に家を出た男。
なんでコイツとご一緒しなきゃなんねーンだ。
もう…
ほんと死んで。
コイツがヴァンパイアだったらなー。
今すぐ倒してやるのになー。
でもって、あの妖精のような女に
『ヘルシング様、素敵!』
とか
『ヘルシング様、愛してる!』
とかとか
『ヘルシング様、結婚して!』
とかとかとか、言われちゃったりしてェなぁぁぁぁぁ!
どーでもイイ世間話をしながら横を歩く男を、我輩はチラリと盗み見た。
「夕飯はお口に合いましたか?」
そこそこ、な。
我輩だって、あの妖精のためなら料理もマスターするわ。
あれ?
そう言えば…
「今夜は月が見えませんね。」
あぁ、幸いな。
ヤロー二人で月なんか見たくもねーわ。
そう言えばコイツは、我輩のロザリオには触れてねぇな…