花の名は、ダリア

そうだ。
まだ可能性は失われていない。

なんとかして、十字架をこの男に押しつけるのだ。

それで男の肌が焼け爛れれば。
もしくは逃げ出せば。

なんだったら、ビックリする程度でも良しとしよう。

コイツはヴァンパイアで決まり。

小躍りしながら、その憎たらしい顔面に白木の杭を打ち込んでくれるわぁぁぁぁぁ!!



いやいや。
私怨などではないぞ?

断じてないぞ?

これは、我輩の崇高な使命なのであーる。


「それはそうと、神父さま…」


世間話はもうイイって。
てか、おまえの声なんか聞きたくもねーって。

この期に及んで自然な流れを装う気もない。

胸のロザリオを握って。
男を見据えて。



あら?

ロザリオを掴まれた。
男のほうに引き寄せられた。

男の、さっきまでとはなんだか種類の違う優しい微笑みが、目の前に…


「おまえ、ハンターだろ。」


‥‥‥え。

‥‥‥ハイ?

ハイィィィィィ!!??

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