花の名は、ダリア
「うん。
極論を言えば、俺とダリア以外の知的生命体は絶滅すればいいと思ってる。」
…
…
…
あ、コレあかんヤツや。
真性ってヤツや。
もう、崇高な使命なんてどーでもイイ。
あの女もどーでもイイ。
逃げよう。
懐に忍ばせてあった白木の杭を素早く引き出した我輩は、『倒す』ためではなく『逃げる』ために、ソレを男の顔面に振り下ろした。
だが…
無駄な抵抗デスヨネ。
ワカリマス。
鋭く尖った杭の先端を、もっと鋭い牙で食いちぎった男が、その破片を吐き出しながらニヤリと笑う。
「慌てンなよ。
夜は長いンだから、ゆっくり遊ぼうや。
‥‥‥コレで。」
ロザリオのチェーンをリードのように扱って我輩を捕らえたまま、男もまた、懐からナニカを取り出した。
って…
え?
ソレが『コレ』?
粘着テープ?
てっきり、血を吸われて干物エンドだと思ってたのに。
ソレでナニすンの?
遊ぶってナニすンの?