花の名は、ダリア

ビっと小気味良い音を立ててテープの切り口とロールを引き剥がした男が、我輩に粘着面を見せつけながら言う。


「コレで全身脱毛してやる。
胸毛も脛毛も一本残さずベリベリ抜いてやる。」


ヒっ!?


「…もちろん、チ○毛もな。」


ヒィっ!?


「でもって絞め殺した後、全裸のまま町の広場に放置してやらぁ!
明日みんなになんて言われっかなぁ?
『気の毒に… クスっ』とか?
『なんて酷い… プっ』とか?
なんせツンツルテンだもんなぁぁぁぁぁ!?」


ヒィィィっ!?


「ヒャーハハハハハ!
死体になっても笑いを取れる、オイシィ男になンだよ、おまえ!
ハンター様、まじステキ!
まじ興奮するわハハハハハ!」


ヒィィィィィっっっ!!

そんな称賛はいらねェェェェェ!!

大笑いしたらハッキリクッキリ見えた牙、ソレ使ってよ。
スゲー立派なの生えてンじゃん、いっそソレ使って殺してよ。

なんでそんなにヒドいコトできンの!!??

恐怖に震え上がりながら、男が浮かべる優しくも凶悪な笑みを目にして、我輩はその理由に気づく。

なーるほど。
コイツ、ドSだ☆

あぁ…
物理的且つ社会的に、我輩、終了のお知らせ…

< 210 / 501 >

この作品をシェア

pagetop