花の名は、ダリア

淡い光を放っているかのような女の肢体を凝視したまま、ソージは神に感謝した。

彼女が生まれてきたことに。
自分が生まれてきたことに。

二人が同じ時間の流れに存在することに。

ありがとう。
神様、まじでありがとう。

そして同時に、神を呪った。

衰弱が激しくてナニが機能しなくなった頃に、運命の出会いを用意してるとか…

なんのイヤガラセだ、クソが。

死ね。
クソ神、まじで死…


「コホコホ コホっ カハっ」


あーあ。
そんな罰当たりなコト考えるから…

身体を二つに折って咳込んだソージは、ついでに赤黒い血の塊を吐き出した。

掌に収まりきらずに縁側を汚した血を見て、裸の女が鋭く息を飲む。

そして、絞ったばかりの上衣を素早く羽織り、ソージに駆け寄ろうと…


「来るコホコホっ …な!」


したが、文字通り血を吐くようなソージの叫びを聞いて、ピタリと足を止めた。


「来ない…で…コホっ ゲハっ
ハーっハーっください…」


「どうして?
ココは
『おとっつぁん、しっかり!』
なんて言って、背中をさするトコロでしょう?」

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