花の名は、ダリア
けれどソージを知らない少年は、そんな珍事には気づかない。
「俺が一人かどうかなんて、おまえに関係ナイだろ。」
少年はソージを睨みつけてから、手の汚れを払って身を起こした。
反抗期デスカ。
ソーデスカ。
そーゆーコからかうの、面白くってやめられない。
「だよなー?
ボッチで便所飯してるとか、とても言えねェよなー?」
「なっ!?
べべ別にボッチじゃねーわ!
仲間だって大勢いるわ!」
「へー?ドコにー?
おまえだけハブって、カラオケでも行っちゃったー?」
「ハブられてねーし!
カラオケでもねーし!
みんなワルシャワに行ったンだ!
もうすぐ大勝利収めて帰ってくンだからな!!」
「…ワルシャワ?」
鼻息も荒く反論を繰り出す少年をまじまじと眺めて、ソージは眉根を寄せた。
ワルシャワ蜂起。
夏の出来事だ。
ドイツ占領下のワルシャワで、ポーランド国内軍とレジスタンスが、一斉にドイツ軍の兵舎や補給所を襲撃した。
しかし圧倒的な装備の差とソ連赤軍の裏切りにより、二ヶ月後にはレジスタンスはほぼ壊滅。
ワルシャワは破壊し尽くされた。