花の名は、ダリア
この森に一人きりで潜伏していた少年には知る由もないだろうが、ワルシャワに行ったという彼の仲間が帰る可能性は、おそらく皆無。
彼は彼の気づかぬうちに、正真正銘のボッチになった。
(…
どーすっかなー…)
ソージは唇をひん曲げて、ポリポリと頭を掻いた。
コレ、真相を伝えるべき?
いや、伝えるべきだろう。
少年のために。
でも…
どう伝えよう?
おまえは再び居場所を失いマシタヨー、とか。
待っても誰も帰ってきませんヨー、とか。
あんまりだろ。
「残念だけど、アナタの仲間はみんな死んだと思うわ。」
おおおぉぉぉいいいぃぃぃ!!??
あんまりだろぉぉぉぉぉ!!??
ソージは引きつった顔で、少年は青ざめた顔で、あんまりな言葉を吐いたダリアを見た。
「嘘だ…」
唇を震わせて少年が呟く。
「ほんとよ。」
肩を竦めてダリアが言う。
「レジスタンスも一般市民も、大勢死んだ。
ワルシャワはもう死の街よ。
いつまで待っても、死んだ人は帰ってこないわ。」