花の名は、ダリア

「生きてるかしら?」


走り疲れと喋り疲れと食べ疲れ…
様々な疲労でスヤスヤと眠ってしまったヨシュアに視線を送りながら、ダリアは囁いた。

焚き火に照らされた彼の寝顔は、驚くほど幼い。


「生きてンじゃないですか?
トーデスエンゲルは、気持ち悪いくらい双子に執着してるらしいですし。」


やはり小声で言葉を返したソージは、古い木箱の中をゴソゴソと物色中。


「問題は、今もアウシュビッツにいるかどうか、でしょうね。
ナチス軍の旗色が悪くなってから、囚人をドイツ国内に移送する動きがありますから。」


一枚は、別に小汚くてもOK。
もう一枚は、なるべくキレイな…

お。
発見。

小汚い毛布を眠るヨシュアに被せたソージは、キレイな毛布を抱えていそいそとダリアに歩み寄った。

そして彼女を背中から抱きしめるように腰を下ろし、二人一緒に毛布にくるまる。

あぁ、あったかい。
あぁ、柔らかい。
あぁ、イイ匂い。

あぁ… 幸せ☆


「とりあえず、トーデスエンゲルの居場所を探るトコロから始めますか。
ヤツがいる場所に、クソガキの片割れもきっといるでしょ。」


「そうね。
…うふふ。」

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