花の名は、ダリア
「‥‥‥いや。
意味なら、ある。」
低く呟いたヨシュアは、サーベルの柄を握り直して起き上がった。
あの日の決意を思い出せ。
「デボラを守るためなら、俺は悪魔にだってなってやる!
でもっておまえをブっ倒して、ダリアさんの裸を覗き見してやる!」
「新たな目的まで見出だしてンじゃねーゾ、このクソガキが!」
瞳に輝きを取り戻して再び突進してきたヨシュアに、ソージはニヤリと微笑みかけた。
「おまえはガキだ。
チビで非力だ。」
今度は真っ直ぐに心臓を目指すサーベルの切っ先を、木の棒が軽く弾く。
「だから、無駄に刀身を上げンな。
重さで長く保たねェゾ。」
がむしゃらに突っ込むことしか知らない小さな身体が、簡単に躱されてバランスを崩す。
「直線的に動くな。
小回り利かせて間合いを詰めろ。」
足を大きく踏み出して転倒を防ぎ、全身を回転させて振り向きざま…
「姿勢を低くしろ!」
ガっ
ヨシュアの振るったサーベルは、ソージが腰の辺りに構えていた棒に切り込みを入れていた。