花の名は、ダリア

「おいおい、今のはいいンじゃねェの?
まだまだ浅いケド。」


ソージは木の棒に刻まれた一筋の傷を指で撫でながら、追い討ちをかけようとするヨシュアを蹴り飛ばした。

『ぎゃっ』と叫んでフっ飛んだヨシュアが、土の上をゴロゴロ転がっていく。

なんつーか…

アゲてる?
サゲてる?

それともガチでイジメてる?

転がるのをやめたヨシュアは、起き上がることもなく大の字になって空を仰いだ。


「よくねーよ。
おまえ、倒せてねーし。」


「思い上がンなよ、クソガキ。
この俺様を倒そうなンざ、5億年早ェわ。
三葉虫からやり直せ。」


「せめてホモサピエンスでいさせろや、クソヤロー。」


なんて不毛な言い争い。

どっちもガキだ。

ソージは寝転がったままのヨシュアに歩み寄り、隣に腰を下ろした。

ベルトに差したサーベルが、地面に当たってガチャリと鳴る。

まだ目の前で抜かれたことのないソレにチラリと視線を送り、ヨシュアはソージに訊ねた。


「なぁ…
そのサーベルも、ナチスから奪ったモノ?
それともおまえの?
ちょっとフォルムが違ェよな?」

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