花の名は、ダリア
あらら。
意外とよく見てンのね。
そう。
ソージがいつも腰に帯びているサーベルには、指や手を保護する半円形の護拳がついてない。
「コレは、俺の。
量産型のチャチな軍刀と一緒にすンじゃねェよ。」
日の光を受けてキラキラ輝く湖面を眺めたまま、ソージは鼻で嘲笑った。
「ふーん?
なんかスゲェの?見せて?」
「三回回って『ワン』って言ったらな、クソガキ。」
「…
誰が言うか、クソヤロー。」
プイっと顔を背けるヨシュアを横目で見て、ソージはまた笑う。
その微笑みは一度目の時とは違い、やけに優しくあたたかかった。
けれどヨシュアはそんなことには気づかずに…
「こんなコトばっかしててイイのかな?
いくらサーベルの扱いが上手くなっても、アイツらは数が多いし、銃も持ってるし…」
自らの不安を溜め息と共に吐き出した。
気持ちはわかる。
彼にとっての初陣が、いきなり天王山なのだから。
たとえバズーカを装備していても、おしっこチビりそうだろう。