花の名は、ダリア
意味がきちんと飲み込めず、ヨシュアが間抜け面を晒す。
「‥‥‥へ?」
「え?七三分けはイヤか?
ツインテなんて、無茶は言うなよ?」
「いやいや、俺が萌え要素で武装してどーすンの。
そうじゃなくて、今夜、ナンテ?」
「今夜、会いに行くンだよ。
アウシュビッツにいる、おまえの片割れに。」
やっぱりソージは、サラっと言い放った。
世間話の気軽さで。
ヨシュアが鋭く息を飲み、身を乗り出す。
「見つけたのか?
生きてるよ、な?」
「いやいや…
ソコまではわかンねェよ。」
ソージは軽く肩を竦めてから、アウシュビッツ強制収容所がある方向に顎をクイっとしゃくってみせた。
「とりあえずトーデスエンゲルは、まだアソコにいる。
ダリアが戻ったら俺は寝るから、起きたら作戦会議だ。
で、夜には決行な。」
「作戦会議…」
「そーそー。
なんとか穏便に片割れと合流して、おまえらだけ先に逃がす方法を考えねェと。
面倒臭ェなぁ、おい。」