花の名は、ダリア
「あーりあ?
難しいコトはわかんない。
私はダリアよ。
こんばんは。」
嫌悪感を覚えるほどの熱視線を平然と受け止めたダリアは、ヒョイと制帽を脱いで可憐に笑った。
って…
あー… そう?
挨拶しちゃうンだ?
この状況で?
この人、色々とスゲェな。
呆れとか、感嘆とか。
中には、カワイソーなコを見る目とか。
様々な注目に晒されながら、それでもやはり気にする素振りもなく、ダリアはあどけなく首を傾げる。
「ねェ、アナタは気が利く親切な人よね?
私を、トーデスエンゲルっていうお医者さんに会わせてくれない?」
…
うん。
ソレ、今、目の前にいるソイツ。
「私がそうだ。」
トーデスエンゲルは顎を反らして答えた。
不遜な態度だ。
彼はナチス最高峰の科学者であり『死の天使』と呼ばれる自分のことを、心から誇りに思っている。
なのにダリアは疑わしげに眉根を寄せて…
「あら、違うでしょう?」