花の名は、ダリア

「あーりあ?
難しいコトはわかんない。
私はダリアよ。
こんばんは。」


嫌悪感を覚えるほどの熱視線を平然と受け止めたダリアは、ヒョイと制帽を脱いで可憐に笑った。

って…

あー… そう?

挨拶しちゃうンだ?
この状況で?

この人、色々とスゲェな。

呆れとか、感嘆とか。
中には、カワイソーなコを見る目とか。

様々な注目に晒されながら、それでもやはり気にする素振りもなく、ダリアはあどけなく首を傾げる。


「ねェ、アナタは気が利く親切な人よね?
私を、トーデスエンゲルっていうお医者さんに会わせてくれない?」




うん。
ソレ、今、目の前にいるソイツ。


「私がそうだ。」


トーデスエンゲルは顎を反らして答えた。

不遜な態度だ。

彼はナチス最高峰の科学者であり『死の天使』と呼ばれる自分のことを、心から誇りに思っている。

なのにダリアは疑わしげに眉根を寄せて…


「あら、違うでしょう?」

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