花の名は、ダリア
言われてみれば、今日の夜空はなんだか明るい。
アウシュビッツが燃えている。
「反乱だ…」
ヨシュアはナニカに取り憑かれたような目で、窓の外を見つめた。
って…
おーい。
正気に戻れー。
「ナニ考えてンだ、このバカボケクソガキ。」
ソージは棍棒でコンコンとヨシュアの頭を叩きながら、心の底から呆れた顔をした。
見事に悪口レベルも上がっている。
ナニすンだよ、クソヤロー!なんてヨシュアが喚くが、コンコンは止まらない。
「クソはおまえだ。
ブレっブレなおまえだ。
欲深き思春期少年が。」
コンコン、コンコン
止まらない。
「おまえ、なんのために力を欲した?
ダリアを助けるためか?
ナチスに復讐するためか?」
「え…
あ。」
やっと、止まった。
我に返ったヨシュアが見上げたソージは、いつものように意地悪く笑ってはいなかった。
睨まれているのかと勘違いするほどに、ひたむきな表情をしていた。