花の名は、ダリア


手術室からは、明かりがだだ漏れ。

おそらく、ヨシュアとデボラが逃げ出した後、扉を閉めている暇はなかったのだろう。

と言うより、そんなコトを気にする余裕のあるヤツなど、誰一人いなかったのだろう。

だから悲鳴も怒号もだだ漏れ。


「取り囲め!
相手はたった一人だ!」


ぅわぁぁぁぁぁ…
ぎゃぁぁぁぁぁ…


「動きさえ止められれば、私が銀の銃弾で仕留めてやる!
取り囲んで一斉射撃だ!」


おいおいおいおい…
とんでもねーコトになってンじゃねェか。

マシンガンかよ、なんて突っ込みたくなるほど連発する射撃音と共に、ソージは部屋に飛び込んだ。

既に発砲された。
全弾を叩き落とせるような武器は手元にない。
もちろん、盾にできそうなモノも。

ならば、取るべき手段は一つだけ。

秒速400m弱で飛ぶ9㎜パラぺラム弾を凌駕する速度で駆けたソージは…


「え? ソージ?」


と、驚きの声を上げたダリアを抱きしめ、襲いかかる衝撃を背中で受け止めた。

背中ってか…

ほぼ全身だよネ、コレ。
後頭部もヤられてるよネ、コレ。

まさに蜂の巣デスヨネ───!?

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