花の名は、ダリア
Ⅶ
手術室からは、明かりがだだ漏れ。
おそらく、ヨシュアとデボラが逃げ出した後、扉を閉めている暇はなかったのだろう。
と言うより、そんなコトを気にする余裕のあるヤツなど、誰一人いなかったのだろう。
だから悲鳴も怒号もだだ漏れ。
「取り囲め!
相手はたった一人だ!」
ぅわぁぁぁぁぁ…
ぎゃぁぁぁぁぁ…
「動きさえ止められれば、私が銀の銃弾で仕留めてやる!
取り囲んで一斉射撃だ!」
おいおいおいおい…
とんでもねーコトになってンじゃねェか。
マシンガンかよ、なんて突っ込みたくなるほど連発する射撃音と共に、ソージは部屋に飛び込んだ。
既に発砲された。
全弾を叩き落とせるような武器は手元にない。
もちろん、盾にできそうなモノも。
ならば、取るべき手段は一つだけ。
秒速400m弱で飛ぶ9㎜パラぺラム弾を凌駕する速度で駆けたソージは…
「え? ソージ?」
と、驚きの声を上げたダリアを抱きしめ、襲いかかる衝撃を背中で受け止めた。
背中ってか…
ほぼ全身だよネ、コレ。
後頭部もヤられてるよネ、コレ。
まさに蜂の巣デスヨネ───!?