花の名は、ダリア

『サド』は不本意だが、『キチ』は自覚してる。

ダリア限定ではあるが、確かに幼女もイケる。

だが…

俺自身は特に気にしないケド、乱れるダリアを他のヤツに見せてやろうとは思いませんヨ?

悦ぶってか、むしろバルスの刑デスヨ?

ナニ?
目潰し食らいたいバカが、その辺にいるとでも…


(あ、いた。)


ダリアの背後を覗き込んだソージは、手術台の向こう側で、小さくなってガタガタ震えているバカを発見した。

なんだ、瀕死にならずにすんだヤツがいたのか。

金褐色の髪をクシャクシャにし、男前を恐怖に歪め、金のルガーP08を握りしめた、その男…

ナチスの幹部たちは、金メッキを施した特注ルガーを愛用していると聞く。

つまりコイツが、ナチス軍大尉でありアウシュビッツ主任医官である、トーデスエンゲル。

つまりコイツが、この場を取り仕切り、ダリアを『銀の銃弾で仕留める』なんてホザいていた重罪人。

ソージはダリアから手を離した。

名残惜しい、なんて思ったコトは、内緒だ。


「あ。
ねェ、ソージ。
ヨシュアに会った?
ちゃんと逃がしてくれた?」


離れていくソージに、ダリアが声をかけた。

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