花の名は、ダリア

「ハイ。
貴方がそう言うだろうと思って、クソでもガキでも逃げられるように細工してきました。」


「さすがね!
やっぱりソージは優しいわ!」


優しい?
そうかな?

ソージは手術台をグルリと回り込み、トーデスエンゲルの目の前に立った。

さて、と。
まずは心を折ってやるか。

黒い笑みを浮かべたソージは、トーデスエンゲルの手からヒョイと拳銃を奪い、その銃口を自らのこめかみに当てて…

ガァン…

撃った。

トーデスエンゲルが、ヒっと短く息を飲む。

その茫然とした顔をニヤリと笑って見下ろしたソージは、頭を撃ち抜いたはずの銀の銃弾が乗った舌を、ペロリと出してみせた。


「こんなんじゃ、死なねェンだよ。」


ソージは笑う。

血塗れで。
元々大きな眼を、さらに大きく見開いて。
舌を出したまま、口角を吊り上げて。


「おまえにゃ俺たちは殺せねェ。
『死の天使』なんて、ご大層な通り名ブラ下げてるクセにな。
ハハ、ダっセ。
バーカ、バーカ。」


ホントに優しい?
これでも?

< 287 / 501 >

この作品をシェア

pagetop