花の名は、ダリア
「ハイ。
貴方がそう言うだろうと思って、クソでもガキでも逃げられるように細工してきました。」
「さすがね!
やっぱりソージは優しいわ!」
優しい?
そうかな?
ソージは手術台をグルリと回り込み、トーデスエンゲルの目の前に立った。
さて、と。
まずは心を折ってやるか。
黒い笑みを浮かべたソージは、トーデスエンゲルの手からヒョイと拳銃を奪い、その銃口を自らのこめかみに当てて…
ガァン…
撃った。
トーデスエンゲルが、ヒっと短く息を飲む。
その茫然とした顔をニヤリと笑って見下ろしたソージは、頭を撃ち抜いたはずの銀の銃弾が乗った舌を、ペロリと出してみせた。
「こんなんじゃ、死なねェンだよ。」
ソージは笑う。
血塗れで。
元々大きな眼を、さらに大きく見開いて。
舌を出したまま、口角を吊り上げて。
「おまえにゃ俺たちは殺せねェ。
『死の天使』なんて、ご大層な通り名ブラ下げてるクセにな。
ハハ、ダっセ。
バーカ、バーカ。」
ホントに優しい?
これでも?