花の名は、ダリア

この男、コワすぎる。

そして性格が悪すぎる。

色々と打ちのめされたトーデスエンゲルは、とうとうエグエグとしゃくりあげだした。

イイ年こいて、情ねェな。

まぁ、泥に塗れたこともないお偉い指揮官サマなんて、蓋を開けりゃこんなモンか。

フン、と鼻で嘲笑ったソージが、もうトーデスエンゲルになんの興味も失くしたように、ダリアに向き直る。


「結局ココには、『穢れし者』も『貴族』もいなかったンですか?」


「…
いるわ。
『貴族』が。」


ダリアもまた手術台の上でクルリと向きを変え、トーデスエンゲルの前に足を投げ出した。

二人の男がビクリと揺れる。

トーデスエンゲルは、危害を加えられるンじゃないかと怯えたから。

ソージは…

ダリアが初めて、自分以外の『貴族』の存在を、口に出して認めたから。



ふーん…

あ、そう。
やっぱいるンだ。

いるンだろうとは思ってたケド、やっぱいるンだ。

ふーん……

よし。
ソイツ、斬ろう。

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