花の名は、ダリア

気狂いじみた独占欲を剥き出しにしたソージが、見知らぬ相手に気狂いじみた死刑宣告を下していることなど露知らず、ダリアは膝に肘をついて身を屈め、トーデスエンゲルの顔を覗き込んだ。


「アナタたちに知識と能力を提供したっていう虜囚は、ヴァンパイアだわ。
アナタも知っていたンでしょう?
だから銀の銃弾なんかわざわざ作って、いざという時のために持ち歩いていたンでしょう?」


ダリアの問い掛けに答える声はない。
トーデスエンゲルは、ただただエグエグ泣いているだけ。

だがまぁ、正解なンだろう。
否定しないワケだから。

なんだろう。
また楽しくなってきた。


「捕まえて、主導権を握ったつもりで、逆に利用されていたのね。
だって私たち、銀なんて平気だもの。」


「そーだ、そーだ。
バーカ、バーカ。」


エグ… ぅー…ヒックヒック…


「『死なない兵士』は、アナタたちに忠実だって聞いてたの?
ソレも嘘よ。
だって『仕えし者』は、血を与えたヴァンパイアを主と見なすンだもの。」


「そーだ、そーだ。
バーカ、バーカ。」


ヒック… ふぇぇぇぇぇ…

絶妙な合いの手が誰のモノかは、言わずもがな。

性格悪いにも程だろ、おい。

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