花の名は、ダリア
まぁ、考えるだけ時間のムダではあるケドね。
サムの真の狙いがなんであれ、すべきことは変わらない。
斬る。
だが…
ダリアはなんて言うだろう?
「ねェ、ダリア。
ソイツ見つけて、どうするつもりなンです?」
「…
サムは罪を犯しすぎた。
与えた命を返してもらうわ…」
ソージの問いに、また顔を伏せてしまったダリアが、迷子のように頼りなげな声で答えた。
それでも、心は決まっているようだ。
クララの時のような気遣いは不要。
斬る。
ただ、それのみ。
「大丈夫、俺がいますから。
俺だけが、永遠に、貴方の傍に。」
不安そうにすり寄ってくるダリアを強く抱きしめて、ソージは柔らかなペールブロンドに顔を埋めた。
きっと今は、彼女には見せられない、酷い表情をしている。
えー… ハイ。
話は変わりマスガ。
その夜から数日後の1月27日。
解放のためにアウシュビッツ入りしたソ連軍が見たものは、誰とも判別がつかない死体の山と、衰弱して動くことすらできない囚人たちだけだったという。
ナチス兵や、まだ労働力となる囚人は皆、ドイツに移送された後だったと考えられているが…
さてはて、真実は闇の中。