花の名は、ダリア
Ⅸ
虎穴に入らずんば虎児を得ず
正にソレでしたわ。
ノープランの行き当たりバッタリで虎の穴に飛び込んだら、虎の児GETできちゃいましたわ。
故事成語ってスゴいね。
ためになるね。
まぁ、全面的に他力本願でしたケドね。
とは言え、ヨシュアは頑張っていた。
銃弾飛び交う大混乱の中を、デボラを庇ってスネークばりに逃げ隠れしながら、森の洞窟を目指していた。
それでも何度かは、ね?
うっかり見つかっちゃったりもしたンだよ。
傷つき、自暴自棄になったナチス兵たちは、気が狂ったように吼えながら襲いかかってくる。
その度にヨシュアは、教えられたことを忠実に守って切り抜けた。
ソージから貰った刀は、想像以上だった。
軽く薙いだだけでも、そこそこザックリいく。
切り結べば、相手のサーベルはポッキリいく。
その上、脂巻きで切れ味が落ちたり、刃こぼれしたりしない。
ナニコレ?
斬れないのはコンニャクだけっつー、幻のアレなのか?
それでもヨシュアは、血に酔ったりはしなかった。
相手が動きを止めると、デボラの手を引いてスタコラサッサと逃げ出した。
この刀も、この力も、誰かを傷つけるためのモノじゃない。
大切な誰かを、守るためのモノなのだ。