花の名は、ダリア

ソージは今度こそしっかり振り返り、背中に抱きついたままの彼女を緊張した面持ちで見つめた。

笑ってマスネ。
ソーデスネ。

無邪気デスネ。
色気の欠片も見当たりマセンネ。



ンだよ。
無自覚かよ。

盛大に肩を落として。
ついでに盛大に溜め息を吐いて。

ソージは彼女から目を逸らした。


「そーゆーの、気をつけたほうがイイですよ。
自覚があろうがなかろうが、昔の俺なら確実に喰らいついてますから。」


「食べるの?
カニバリストなの?
レゲエ君てば、本当にアレな人なのね。」


「…


ちょっとニュアンス違いますケド、ソレはソレでアリかなぁ…」


二人して、微妙な表情で首を捻る。

てか、レゲエ君て。
まじでドレッドヘアになってンの?
明日、バーサンにどう言い訳すりゃイイの?


「レゲエ君は勘弁して下さい。
俺はソージです。」


細かい三つ編みを指で一本つまみながら、ソージは名を名乗った。

彼女と出会ってしばらく経つが、初めてのことだった。

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