花の名は、ダリア
ソージは今度こそしっかり振り返り、背中に抱きついたままの彼女を緊張した面持ちで見つめた。
笑ってマスネ。
ソーデスネ。
無邪気デスネ。
色気の欠片も見当たりマセンネ。
…
ンだよ。
無自覚かよ。
盛大に肩を落として。
ついでに盛大に溜め息を吐いて。
ソージは彼女から目を逸らした。
「そーゆーの、気をつけたほうがイイですよ。
自覚があろうがなかろうが、昔の俺なら確実に喰らいついてますから。」
「食べるの?
カニバリストなの?
レゲエ君てば、本当にアレな人なのね。」
「…
…
…
ちょっとニュアンス違いますケド、ソレはソレでアリかなぁ…」
二人して、微妙な表情で首を捻る。
てか、レゲエ君て。
まじでドレッドヘアになってンの?
明日、バーサンにどう言い訳すりゃイイの?
「レゲエ君は勘弁して下さい。
俺はソージです。」
細かい三つ編みを指で一本つまみながら、ソージは名を名乗った。
彼女と出会ってしばらく経つが、初めてのことだった。