花の名は、ダリア

ダレがさせるか。

離れていこうとする手首を掴んで。
細い腰を抱き寄せて。

ますます優し──く、ソージは微笑む。


「冗談じゃありませんよ。
いくらなんでもココまで火が回るコトはありませんし、消防隊する義理もないですし。」


「まぁ… 放火犯本人が、消火活動っていうのもね…」


「ほんとソレ。
この辺りにはもう誰もいませんし、クソガキ共も、そろそろ湖に向かっただろうし。」


「まぁ… 見られて悦ぶアレな人になる心配もないわね…」


「正にソレ!
なんの問題もナイ!
さぁ、存分にヤらせろください!」


力強く頷いたソージは、軽々とダリアを抱え上げた。

いやいや…

見られて悦ぶアレではないケド、別方向でアレすぎる。

木から木へ、枝から枝へ飛び移って洞窟を目指すソージの腕の中で、ダリアが最後の抵抗を試みる。


「ねェ、私たち血塗れよ?
とりあえず水浴びを」


「湖の水を汲み置きしてあったでしょう?
ソレで俺が、洗って差し上げますよ。
貴方の身体の隅々まで。」


あらら…

さらにアレな結果になっちゃった。

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