花の名は、ダリア
シャツのボタンを一つ外せば、目に痛いほどの白い肌。
その眩しさに誘われるように、クッキリと浮かび上がった鎖骨を指でなぞり、片手で折ってしまえそうな首に牙を立てる。
するとダリアは小さく呻き声を上げ、完全に目を覚ました。
「んぅ… あ。
お帰り、ソージ。
あら?濡れてるわよ?」
「雨ですよ。」
「そうなの?
早くシャワーを…」
「いいンです。
雨がシャワー代わりってコトで。」
「ダメよ。
風邪をひいちゃうわ。」
「…ひきますかね?」
「…ひかないわねェ。」
見つめ合って、二人同時に苦笑い。
さぁ。
『今できるコト』に取り掛かろう。
ダリアに覆い被さった俺は、赤い蜜が滴る彼女の薄い皮膚に舌を這わせた。
いつもより丁寧に。
いつもより執拗に。
雨の夜の記憶を、塗り替えるように。
消せないっつーなら、上書きしちまえばいいンだよ。
ダリアが途切れがちな甘い声で俺の名を呼べば、もう雨音も聞こえない。