花の名は、ダリア
そりゃそーだ。
ソージの居るべき場所は、ダリアの隣。
ソージの帰るべき場所もまた。
他には未練も愛着もない。
そりゃもう、これっぽっちもね。
「でも、貴方が日本に行くと仰るなら、俺もご一緒しますよ、もちろん。」
キッチンを出たソージは、ロング丈のソムリエエプロンで手を拭って微笑んだ。
フライパンの米の上に、先に炒めておいた魚介類を並べて蓋をしたから、しばらくは中火で蒸すだけ。
今夜はパエリアですよ、ダリアさん。
「うん!
一緒にコレに行こう?」
嬉しそうに頷くダリアに歩み寄ったソージは、彼女が指差すPC画面を見て…
「コレ…は…」
顔を引きつらせた。
だってコレ…
コスプレイベント案内サイトじゃねェか。
忍者、娼婦、ナチスSSときて、次はなんなの?
この人はドコを目指しているの?
「それでね?
私、こーゆーのを着ようと思うの。」
ますます嬉しそうに笑ったダリアが、一枚の紙を差し出した。