花の名は、ダリア

「貴方のお名前は?」


何気ない口調でソージは訊ねた。

必死感を必死で隠してサラっと聞いたンだから、サラっと答えて、お願い。

消えたりしないで、まじでお願い。

なのに彼女ときたら…


「うーん…」


ソージの切なる願いを打ち砕くように、困った顔で小首を傾げた。

やっぱソコ、進入禁止ゾーンだったの。

あぁ、崖っぷち。

だが、それだけでは終わらない。

彼女の次の言葉が、ソージを崖の下へ突き落とす…


「私、自分の名前忘れちゃったの。
ずいぶん昔の話だし、呼んでくれる人もいなかったし。」


「‥‥‥‥‥ハイ?」


いやいや…
ねェだろ。

ソコは忘れねェだろ。

いやいやいやいや…
『昔の話』ってなんだよ。

まだ若いだろ?
身体は充分エロいケド、内容から察するにまだ十代だろ?

コレは… アレか?

ケー番交換しよー

ごめーん、ケータイ持ってないのー

…今時、ねェよ

的なお断りか、コノヤロー。

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