花の名は、ダリア

ソージの剣幕に、叱られるなんて思ってもみなかった様子のダリアが、オロオロと身体を揺らす。


「そ…そう?」


「そうです!
その美しい髪や瞳の色を活かした水着じゃないキャラなんて、他にもたくさんあるでしょう!?」


「で…でも…
私、ピー○姫はちょっと…」


「…


金髪碧眼キャラと聞いて、真っ先に○ーチ姫が思い浮かぶ貴方のセンスには脱帽です…」


さっきまでとは打って変わった小さな声で呻いたソージは、ガクリと肩を落とした。

力尽きたか。

項垂れるソージの髪に、チェアに腰かけたままのダリアが手を伸ばす。


「でも…そうね。
髪を染めるのはやめておくわ。
私だって、ソージが髪を切ったり染めたりするのは、イヤだもの。」


「…
どうしてです?」


「キレイだから。
私、ソージの髪が好きよ。」


目を瞬かせるソージの黒髪を、ダリアは細い指でクルクルと弄ぶ。

口は開かずに、唇の両端を持ち上げて。
目をキュっと閉じて。

頬にエクボを作って、『うふふ』なんて…

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