花の名は、ダリア
どーして、って?
ダリアの指が、マウスをクリックしたから。
画面に、コスプレイベント主催団体の公式HPが映し出されたから。
『使徒の国』‥‥‥
「な…」
「自己啓発セミナー、ですって。」
言葉を失ったソージに、ダリアが補足説明した。
って、ンなモン見りゃわかる。
『今の自分をブチ壊し、新しい命を生きる!』
とかなんとか、チープな文言が踊り狂ってンじゃねェか。
明らかに、カルト宗教の入口であると言われるアブナイ系自己啓発セミナーだ。
問題はソコじゃない。
「この…
『ノエルちゃん』っつーのは…」
ソージは画面の中で笑う、その団体のマスコットキャラクターを指差した。
背中に生えた天使の羽。
白いミニワンピ。
ツインテールにした長い金髪と、青い瞳。
一部の若者から熱狂的な支持を集めそうな、萌え要素で武装した、デフォルメされた少女のキャラ…
「うふふ。
私かしらね?」
デスクに頬杖をついたダリアは、PC画面を見つめたまま薄く笑った。