花の名は、ダリア
白を基調にした、なんだかゴテゴテと飾り立てられた部屋。
ファントムが嬉々として落としそうな、あたたかな光を醸し出す豪華なシャンデリア。
意味があるのかないのかよくわからないフサフサがついた、赤いラグ。
ソージがいる透明な檻の外は…
なんつーか、ベルサイユ。
ナニコレ?
ココもコスプレ会場なの?
「あー…
ちょっとソコの、オス○ルくん?」
ソージは、ロココあるあるの猫足ソファーに座った後ろ姿の人影に、頭を掻きながら声を掛けた。
すると、ソイツが立ち上がる。
そしてゆっくりと振り返り…
「あれ?
思ってたよりも小さいね。
ナチスの将校たち相手に鬼神の如く暴れていた君は、もっと大きく見えたケド。」
優雅な動作で指を顎に当て、軽く首を傾げた。
金髪碧眼。
けれど、ダリアのソレよりも色合いが濃い。
若干鷲鼻ぎみで骨格がシッカリした男らしい顔つきなのに、タレ目のせいで柔和且つ甘えん坊サンに見える。
中世風のジャボタイつき白シャツと黒いパンツという、一見軟弱そうな格好をしているが、長身で肩幅が広く、抱きしめられると安心できそう。
納得のマダムキラー系男子だ。
得意のシノギは結婚詐欺だろ。