花の名は、ダリア

てか、ソレ以前に!


「なんちゃら伯爵だぁ?
嘘つけ。
おまえ、サムだろが。」


仲良くする気なんてこれっぽっちもないソージは、顎を反らしてせせら嘲笑った。


「…
サミュエルだ。」


「ソレ、サムだから。」


「…
ぅー…」


言うべき言葉を失ったジェルマン伯爵改めサムが、ショボンと肩を落とす。

どうやらケンの友達チックな名前を、本人も気にしているようだ。


「気に障ったァァ?
ゴメン、ゴメーン☆」


ペロリと舌を出し、拳で頭をコツンして、今度はソージが謝った。

バカにしすぎだろ、おい。

柔和なマダムキラーも、さすがに眉を顰める。


「…
君、性格悪いね。」


うん。
その感想は的を射ている。

サムは不機嫌な表情のまま、檻の中にいるソージに歩み寄った。

近づけば、身長差は歴然。

サムがソージを見下ろすカタチになる。

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