花の名は、ダリア
Ⅳ
優しくも狂った微笑みを消し去るために、サムが親指に力を込める…
ゴっっ ゴ…ガシャ──ン!!
「は?」
「は?」
ハイ、寸止め。
部屋を揺るがした轟音と衝撃に、ソージとサムは仲良く目を見開いた。
シャンデリアだ。
天井の一部と共に、シャンデリアが落下してきた。
まじでファントム出現かよ。
と、思ったら!
「ソージ!」
天井に開いた穴から、愛らしい声と華奢な人影が降ってきた。
「ダリア!?」
「『ノエル』!?」
またも、仲良く声が重なる。
が、ダリアは片方を完全に無視し、もう片方に駆け寄って拳を振り被った。
唸る右ストレート。
ゴンっっ
「~~~っっ
イタいぃぃぃ~」
「ちょ… 大丈夫ですか!?」
ソージも、慌ててダリアの前まで駆け寄った。