花の名は、ダリア
「二つ、おまえに言っておくコトがある。」
転がる生首に、ソージは優しく微笑みかけた。
「まず一つ目。
そんなチャチぃ檻、いつでも斬れた。
おまえの涙ぐましい策略が笑えたから、ちょっと付き合ってやったダケだ。」
ナニソレ、ヒドい!?
だが、今のサムには文句を言う余裕はナイ。
「次、二つ目な。
おまえ、香水つけすぎ。
ココまでくると、もはや悪臭だから。
おまえ自身が公害だから。」
やっぱヒドい!?
だがやはり、サムには文句を言う余裕はナイ。
サファイアの瞳を大きく見開き、ソージの足元を凝視し続けている。
「ナニをする気だ…?」
「すぐにわかるよ。
俺はおまえみたいに、勿体ぶったりしねェから。」
一際優しく、優しーく微笑んだソージは…
躊躇いもなく、スイッチを、踏んだ。
放たれた青白い光から逃れるように、ソージはダリアを抱えたまま天井の穴に向かって跳ぶ。
背中を追ってきた呻き声は…
『グ…アァァァ… マダ…ダ…
シマ…デ… マッテ…ル‥‥‥ヨ…』
とりあえず今は、無視の方向で。