花の名は、ダリア
いつものように…いや、いつもよりもギュウギュウ首にしがみつかれているが、いつものように笑ってくれない。
それどころか、目も合わせてもらえない。
お怒りデスカ?ダリアさん。
やっぱ彼女の目の前でサムをヤったのは、失敗だったか。
なんだかんだ言っても、長い間ずっと一緒にいたンだろうし。
サムが頼んだからとはいえ、一応元カレだし。
『与えた命を返してもらう』
なんて口では言っていても、情が残ってたりして…
残ってたり…して‥‥‥
…
いやいやいやいやぁぁぁぁぁ!?
やっぱコレ、サクっとヤって正解だろ!?
情なんか残してンじゃねェよ。
存在そのものを、心の中から抹消してよ。
もう俺がいるのに…
「ねェ、ソージ…」
憮然とするソージに、相変わらず顔を伏せたままのダリアが声をかけた。
うんと甘やかしたかったり。
うんと意地悪したかったり。
複雑な感情をもて余したまま、ソージはやはり、憮然と言葉を返す。
「…
なんです?」
「サムとどんな話をしたの?
ソージも…
サムみたいに、ドコカへ行っちゃう?」