花の名は、ダリア
「…
…
…
ダメだ…」
「なんで?
『忘れられない二人のハジメテ☆』とか、ベっタベタな恋人たちの特別じゃん。」
「もう終わってンだよ、『忘れられない二人のハジメテ☆』…」
「早っ!?
付き合ったその日に、とか?」
「や、もっと前。
出逢って一ヶ月も経たずに、俺が彼女に襲いかかるカタチで終わった。
ロマンチックの『ロ』の字どころか、布団すらなかったなぁ…」
あっれぇぇぇぇぇ!!??
ソレ、犯罪じゃねぇのぉぉぉぉぉ!!??
別の意味で忘れらンねェェェェェ!!??
まじヤバい。
俺もトイレに逃げたい。
だがMARUTA男は、やっぱアレはマズかったか…なんて、頭を抱えて溜め息を吐いている。
逃げられる雰囲気じゃねぇよなぁ…
「アンタら、ほんとに、ほんと───に、付き合ってンの?」
「…
おぅ。
だってダリア、イイって言ったし。」
俺が念を押すように訊ねると、MARUTA男は視線を泳がせながら答える。
不安なンかい。
心からヤバいケド、心からカワイイ男だよ、アンタ。