花の名は、ダリア
ココまで喋って、ハイ、後悔。
俺、ビックリするほどハズカシーコト言っちまったンじゃね?
愛を語っちまったンじゃね?
コレは死ねる。
100万回は死ねる。
そんな空気を察してか、MARUTA男が顎を指で撫でながらニヤニヤと笑いだす。
「カッケー。
愛の伝道師、まじカッケー。
師匠って呼んでイイっスかー?」
「やめて。
いっそ斬り刻んで。」
俺が赤くなった顔を両手で覆ったトコロで、ヤバい恋愛相談はおしまい。
俺のカノジョがトイレから戻ってきて、ギロチン美女がスイーツをこれでもかと盛ったプレートを抱えた挙げ句、片手に持ったマカロンを齧りながら戻ってきたから。
いや、自由の権化だな、ギロチン美女。
俺はナニゴトもなかったような顔で、『そろそろ出る?』なんてカノジョに言う。
MARUTA男もナニゴトもなかったような顔で、『太りますよ?』なんてギロチン美女に言う。
もう話すコトはおろか、会うコトもないだろう。
でもね?
席を立った時、確かに聞こえた。
「アリガト、な。」
なんて、小さな小さな、MARUTA男の声。