花の名は、ダリア

もちろん最前線で暴れ狂っていた頃は、こんな風に考えたコトはなかった。

『世界を変えるze!
俺、最強伝説!YEAHHHHH!!』

なんて浮かれてた。

自分を客観的に見られるようになったのは、死の病に侵され、床につく時間が長くなってから。

それでもやっぱり、後悔はしていないと思う。

楽しいコトも多かったし。

尊敬する人たちの背中を追って、アホなりの正義を貫いてきたつもりだし。



でも…

俺、ナニやってたンだろ?

俺がしたかったコトって、いったいなんだったンだろ?

乱れたこの国の未来も、剣の腕も、先生や先輩たちの志すら取っ払って、ナニも持っていないちっぽけな俺自身がしたかったコトって‥‥‥


(今際の際にこんなコト考えちゃうとか…
俺、ダっセ。)


リトライできるワケじゃなし。

縁側に腰掛け、水を張ったたらいに骨と皮だけになった足を浸したソージは、入道雲が浮かぶ空を見上げて溜め息を吐いた。

団扇を持つ手も、骨と皮。

右耳の下でまとめた長い黒髪も、艶もハリも脂も抜けてパっサパサ。

顔なんかもう、ね。
初代バ○オハザードの冒頭で振り向くゾンビだよ、コレ。

暗闇でバッタリしちゃったら、間違いなくハンドガンで撃たれるよ、コレ。

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