花の名は、ダリア

俺は。

別の男を選ぼうとする貴方の手を斬り落とし。

返す刀で。

選ばれようとするその男の喉笛を掻き斬ってみせよう。

まぁ、それくらいじゃサムは死なないケド、心情的にはそんなカンジ。

それで、貴方が俺を憎んでも。
貴方が壊れてしまっても。

愛しているよ。

どんな貴方も愛しているよ。

貴方を壊した俺だけが。
俺が壊した貴方の傍に。

永遠に、寄り添って…


「ソージ、ソージ!
岸が見えたわ!」


暗い夜の海を、もっと昏い瞳で見据えていたソージの肩を、頬にエクボを浮かべたダリアが叩いた。

なんて楽しそうな声出してンの。
なんて浮かれきった顔してンの。

もしかしてまだ、年中彼岸花が咲いてる島だとか、期待してンの?

その無邪気さが。
そのあどけなさが。

狂った思考に蓋をする。


「えぇ。
もうすぐ着きますよ。」


瞬き一つで瞳に宿った深い闇を消したソージは、肩に置かれたダリアの手を握って微笑んだ。

そう。

今考えていたコトは、思いつく結末の一つにすぎない。

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