花の名は、ダリア

ダリアが真実を知る前に、サムを殺ればいい。

ダリアがサムと話す前に、サムを殺ればいい。

ダリアとサムが会う前に、サムを殺ればいい。

結果、速攻でサムを殺ればいい。

そうすれば、何も変わらないンだから。

島の漁港から少し離れた場所にある、もう使われていないであろう朽ちかけた桟橋にボートを停めたソージは、立ち上がってダリアに手を差し伸べ…


「さぁ、お手をどうぞ。

って、本気でその格好で?」


首を傾げて苦笑した。

ハイ。

数ページ前の一文で、あれ?と思ったアナタ。

そーなんスヨ。

今夜のダリアさん、ツインテなんスヨ。

袖も裾もヒラヒラした、胸の下に切り替えがある白のミニワンピなんて着てんスヨ。

ついでに、足元は白いシンプルなパンプスで、天使の羽根がついたピンクのリュックを背負って…

って、ソレ、なんて『ノエルちゃん』!?

『使徒の国』の公式HPで見た、マスコットキャラまんまじゃねェか!?


「もちろん、本気よ。」


ソージの手を取ってボートから身軽に飛び降りたダリアは、うふふ、と笑ってワンピースの裾を指でつまんだ。

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