花の名は、ダリア

ココは山の奥深く。

薄暗いが、生い茂った木々の隙間から木漏れ日が差しているので、気を失ってからそれほど時間は経っていない。

首筋から頭にかけて鈍い痛みが走るのは、打撃を食らった証。

そして目の前には、『起きた、起きた』と騒いでいる男と女。

てか、魔物と『ノエル』。

つまり…

誘い出され、殴られ、拉致されたってワケですネ。
ワカリマス。

だが、拘束されてはいない。
首筋以外に危害を加えられた様子もない。

その上この誘拐犯たちときたら、ノンキに豚汁作って食べてやがりマスYO!

キャンプか。

なんのために拉致りやがった?
聖戦はドコ行った?

上半身だけを起こして、警戒も露に黙りこむ女に…


「…あぁ、コレか。
ほら。
悪かったな、電波団長。」


なんて言って、魔物が『ノエル』から受け取ったメガネを手渡す。


「電波団長も豚汁どうぞ。」


なんて言って、『ノエル』が使い捨ての紙椀を手渡す。

まじでキャンプか。

言いたいコトは山ほどあるが、まず女は、最重要事項を声を大にして叫んだ。

< 411 / 501 >

この作品をシェア

pagetop