花の名は、ダリア

「そうよ。
誰だって我が子には」


「だよな?生きててほしいよな?
だが、正気の沙汰じゃない。
永遠に生きるってコトは、時を止めて生きるってコトだ。
そのガキは、病気は治るが成長しなくなる。」


「え… そうなの?」


「そうだ。
精神は年を重ねるが、身体はガキのまま。
お年頃になって惚れた女ができても、ガキのチ○コじゃどーしよーもねェンだぞ?
ソレが偶発的なモンなら乗り越えようもあるだろうが、親の一存で誰かに植えつけられたモンだとくりゃ、ほんとに幸せか?
俺には、悲劇通り越して喜劇だとしか思えねェわ。」


「下品な…
セックスが幸せの全てでは」


「全てじゃねェだろーな。
だが、俺にとってはかなりのウェートを占めるケドな。
しかも『永遠に』なんて言われた日にゃ、死んだも同然だケドな。
要するに、『誰もが幸せ』なんてのは思い上がりだってこった。」


「…
黙れ… 黙れ!黙れ!
伯爵の教えは正しい!
おまえみたいな人殺しの言うコトなんか、私は信じない!」


自らの信念を確認するかのように、カオリが声を荒らげる。

それを聞いて…


「へェ?
人殺し、ねェ…」


ソージは鋭く目を細めた。

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