花の名は、ダリア
呆れ返ったソージの言葉が、胸に刺さった棘のように抜けない。
『科学者ってヤツは、クソほど実験を重ねて結論を導き出す、疑い深い人種なンだろ?
おまえ、よくそんな都合がイイだけの話を、ペロンと信じられたよな』
ぐうの音も出ないほど正論デスネ。
ソーデスネ。
別に疑い深いワケではないが、歴然とした事実を積み上げた者だけが、真理に近づけるものだと思って生きてきた。
だが、今の自分はどうだ?
信じて。
信じて。
ただただ盲目的に信じて。
信じる根拠を何一つ手にしていない。
このままではいけない。
自分自身を取り戻さなければならない。
自分で行動し、自分の目で真実を見極めなければならない。
でも、どうやって…
「カオリさーん!」
合宿所までもう少しといったトコロで、後ろから声をかけられた。
振り返れば、原付にガタガタ揺られる大柄な男。
『使徒の国』の仲間、元ラグビー選手のタナカだ。
彼も、『ノエル』と魔物と船を探すという使命のため、島のアチコチを回っていたのだろう。
あぁ、もぅ…
今となっては、『使命(笑)』とか言っちゃいそうだよ。