花の名は、ダリア
「私がね?
電波団長のバイクで勝手に遊んでて、見つかって、叱られると思って逃げたら、転んじゃったの…
ごめんなさいぃぃぃ…」
「え?まじで?
あー…
スンマセン。
ウチのコが、ご迷惑おかけしました。」
ハイ。
よくわかった。
オカーサンなのは、ほんとよくわかった。
「そんなコトはどーでもイイです。」
黒と金のつむじに向かって、カオリは強い口調で言った。
こっちゃ、急いでンだよ。
コントに付き合ってる暇はねぇンだよ。
やっと追いついてきてダリアの顔を見、え…彼女『ノエル』じゃ…と呟いたタナカの口も、
「違う。
コチラ、ソージさんとダリアさん。
紹介終了、もう黙れ。」
これまた強い口調でカオリは封じた。
濃紺へと滑らかに移り変わりつつある、空のグラデーション。
夜はもう、すぐそこまで来ている。
「お願いがあるンです。
お二人が乗ってきた船を、貸していただけませんか?」
前置きもなく。
焦りを隠そうともせず。
単刀直入にカオリは切り出した。